2019年入社を目指す就活生に向けて、地元企業の女性採用担当者が『座談会』を開きました。Uターン就職をした先輩たちが、地元で働く魅力や生活を“女性目線”で熱く楽しく語り合いました。
(場所:サン工業株式会社)
左から 伊那市人権男女共同参画係 北原 静香さん
ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社 東城 あづささん
タカノ株式会社 森田 貴子さん
KOA株式会社 中川 沙織さん
信英蓄電器箔株式会社 小平 恵美里さん
株式会社マブチ・エスアンドティー 小日向 広美さん
サン工業株式会社 細田 文恵さん
東城:
就職活動しなければならない時期、私は会社で働くというイメージが掴めず、自分が何をやりたいのかとても悩んでいた時期がありました。いまでこそ「当社への志望動機は?」と質問をする側にいますが、やりたいことが見つかっていない学生の気持ちはよくわかります。
私の大学は、結構大手志向の学生が多く、その中で私は異質でした。「OBOG訪問」や「大企業に入って出身大学の派閥がある」そんなことが当たり前のような世界が嫌でした。(笑)
なので、それなら地元に戻って地元に貢献したいと思いUターン就職したわけです。地元に戻ってくればOBも派閥もそこまで関係ありませんから。
森田:
就活の頃は東京または愛知県で就職したい気持ち70%で活動していて、合同説明会でたまたま話を聞いたのがタカノでした。
就職活動中は何をしたいかが定まっていなかったので、勤務地や業種にこだわらず会社訪問や応募をしました。
上伊那にはたくさん魅力のある企業があるなかで、会社訪問や選考の際の印象で今の会社に決めました。
上伊那は田舎というイメージがあり、買い物の不便さなどから若いうちは県外で働いてもいいかなと思っていましたが、就職活動を行っていく中で最終的には地元就職で企業を絞りました。
中川:
学生時代は北陸で生活をしており、適度な都会で生活はとても便利でしたが、夏は蒸し暑く、冬は曇りがちな気候が合いませんでした。長野県の気候が一番!と思い、長野県でものづくりをしている企業をターゲットに就活しました。志望度が高いいくつかの企業には、個別で会社見学をさせてもらったり、お礼のメールや手紙を必ず送ってアピールをしていました。
KOAは、会社が大切に考えていることに共感できたこと、考えているだけでなく、様々な場面で行動にもうつしている会社だと思えたこと、期待を一番伝えてくれ、この人たちと一緒に働きたいと思ったことから選びました。
小平:
実は、当時都会の華やかさに憧れていたので、最初地元は視野にいれず就職活動をしていました。何社も企業を見てまわりましたがここに絶対入りたい!という会社に出会えず・・・じゃあ地元はどうか?とふるさと就職面接会に行きました。そこで初めて信英蓄電器箔という会社を知ったのですが、その出会いに今はすごく感謝しています。
小日向:
今は情報量が圧倒的に多い!情報量の多さから疑心暗鬼のまま就職活動している学生が多いように感じます。
一昔前はシンプルに採用担当者や学卒担当者との会話の中から「ここが私の進みたい道かもしれない」と信じ、信じるしかなかったのですが・・・そういう方法で就職先を多くの方々が決めていました。
情報のみ照らし合わせるだけでなく、多くの方に(ご両親、先輩、学校の先生、採用担当者)素直な自分の気持ちをブツケテみる!その中からきっと見えてくるものがあると思います。
就職はゴールじゃない!人生のスタートにたったばかりです、失敗を恐れずに行動する!
社会生活はこれから長く長く続きます、ポジティブにいってみよう。
細田:
私達バブル世代が、就職活動をしていた1980年代後半は、女性の就職とは結婚をするまでの腰かけ程度にしか捉えられていませんでした。この時代、世間の常識は皆さんのお母様世代ですので、結婚適齢期は25歳前後。これを過ぎると「なんで結婚しないんだ」「誰かいい人はいないのか、紹介するぞ」と、今でいうセクハラ発言は普通のレベル。そして、結婚すると退職するのが当然という世の中でした。
もちろん、女性の採用は働ける期間の長い「短大生か高卒」の方重視。女性の「4大卒」は、将来医師か教員希望の人のみ。その為、就職がかなり厳しい時代でした。
そんな中、当時の私は東京の短大を卒業しましたが、在学中に「幼稚園教諭」と「保母資格」を二つ取得しておりましたので、就職は東京ならば引っ張りだこの売り手市場でした。
しかし地方の企業では、女性の育休取得を出来ないのが現状で育休をとれる「保育士・公務員」に希望が多く、当然そんな働きやすい環境の中離職する保育士もおらず、その年の保育士募集は伊那市でなんと・・1人!今では驚くほどの環境ですよね。
そこで、東京就職希望しておりましたが両親の反対にあい、結婚するまでの親孝行だと割り切り、地元の金融機関に就職しました。
地元に戻った当初は、東京に戻る事ばかり考えていましたが、縁あって今の主人と知り合い(長男の嫁)伊那市に嫁ぎ、現在に至っております。
娘(23歳)息子(21歳)の子育てをしていく中で、地方だからこそ自分らしい子育てに取り組む事が出来たと実感しています。
地方でも都会でも今はどんな情報も共有できる時代です。だからこそ、「自分自身はどう生きていきたいのか」「仕事や子育てを通してどんな風に成長していきたいのか」そこが自分自身の軸になければ、就職もぶれてしまう時代です。だからこそ大変でもあり、やりがいのある、羨ましく感じる環境ですね。ご両親や周囲の方々の意見をしっかりと受け止める事は大事ですが、それをきちんと自分の中で軸に照らし合わせて決める勇気も必要です。
失敗しても自分の決めた事ならば何とか乗り越えられますし、必ず成長に繋がりますよ。
(特別協賛:㈲いすゞ、養命酒製造㈱)
東城:
男女共通かもしれないですが
・自然豊かな場所で子育てが可能。小さい頃からお受験が無い、外で遊ぶことが普通、自然に触れられることが普通な子供達は幸せだと思う。ご近所さんも含めて家族という付き合い方ができる。子供たちは登校時には知らない人にでも挨拶ができるような関係。
・車がないと生活ができない。
森田:
・四季豊かで環境が良い中で生活できる。
・男女共通だが、満員電車がないなど通勤が楽。
・まだまだ男女の活躍に差がある(女性管理職少ない、女性の意欲も大事)
・買い物の場所が少ない。
中川:
・自然に囲まれ、両親も近くにいるような良い環境の中で子育てができる。
・上伊那をキーワードに、プライベートでも仕事でも学生時代の友人や先輩、後輩とつながることが多い。直接でなくても、間接的につながることも多く、そこでまた輪が広がる。
・近所付き合いがあり、地域のお祭りやイベント等でも交流がある。
・自然以外のレジャー施設や、洋服等の買い物、食事をするところが少ない。
小平:
なんといっても暮らしやすい!保育園に子供を預け安心して働ける環境があり(待機児童ゼロ!)、親も近くにいるのでいざという時に頼り頼られ・・・という心強さもあります。また、自然が豊かで、子供ものびのびと遊べる場所が多いです。
デメリットと言う程ではないですが挙げるとすれば、都会に比べレジャーや買い物、飲食店など選択肢が少ないことかな。日常生活で困ることはありませんね。
小日向:
メリット・デメリットはその人の価値観で大きく異なる!
私は若いころはスキ-やスノボ-ド、テニスが大好きでした。今はというと2年前から始めたゴルフが「大げさですが生きがいです」。近くに練習場もゴルフ場も沢山ありますし春には山菜、夏には野菜、秋にはマツタケやリンゴとおいしい食べ物も豊富で、とても恵まれた環境だと思っています。
しかし当社の東京営業所のスタッフが諏訪湖花火大会に家族できた際に、茅野駅から上諏訪まで電車で来ることをオススメしますとあり、車を駐車し茅野駅から電車に乗ろうと時間も調べずに(都会の人だから・・・)茅野駅に行き時刻表をみてビックリ!1時間以上待ちって?電車の本数の少なさに驚いていました、その彼女が本社に来た際に、ここどこでご飯食べるの?買い物はどうするの?ブツブツ・・・
人それぞれ価値観は違います、メリット・デメリットで判断する場面もありますが人生の中では、それだけでは決められないことがほとんどです。
重要なのは自分がどうしたいか?心地良いか?だと思います。
そういう観点で生活スタイルを聞いてみてはいかがでしょうか。
細田:
・雄大な自然の中で四季を感じながら生活し、様々な日本の行事等にも触れ合いながら子育てが出来るという事は、男女二人の子育て経験者の私としては最大のメリットかと思います。
・こちらで暮らす若者は、ほぼ皆さん「庭付き一戸建て・自家用車持ち」といった環境で子育てをしております。これも地方ならではの物価の低さや、地元企業の給与体制の充実も一因しているのかと感じています。
・美しい空気、新鮮で美味しいお米や野菜・果物等が安価に手に入り、ストレスフリーで健康的な生活をおくる事により長寿に繋がっていくのでは。
・私の若い頃は都会にしかないお店や、都会でしか出来ない事が多かったのですが、昨今は私の近所にも「スタバ」が出来た事(笑)などからも分かりますが、女性も車を持つ時代となり、ファッション・グルメ・旅行等、多くの趣味を自由に楽しむ事が出来る。(都会じゃ厳しいかな)
・子育てをする中でキャリアアップしたくても、周囲の環境(保育所や親族等)が整わないとなかなか厳しいのが現実です。しかし地方なら待機児童もゼロですし、近くに親御さんや親戚、友人がいる為いざという時に助け合える人間関係があります。働く女性にとってこれ以上に力強い存在は有りませんよ。
・これは個人のキャリア志向によるところが多いかと思いますが、地方は中小企業が多くダイバーシティーの部分でかなり遅れている企業様が多いです。
しかし、これは捉え方の違いでピンチではなくある意味女性にとってチャンスと私は考えています。当然女性管理者の数自体少なく、今ならばどの企業においても「女性管理者のパイオニア」として、重要な業務に携われる機会も多いですし、その会社の風土を、女性も活躍できる風土に作り上げていく、むしろ絶好のチャンスです。優秀な学生が巨万といる大企業よりも、自分次第で出世や活躍の場が拡がっていく事は間違いないと感じています。
この様に考えれば、全てのデメリットはメリットでしかないと私は考えています。
是非、一度のきりの人生であれば、苦労してでもやりがいを感じる、そして、あなただからこそ必要とされる職場・地域のネットワーク・家庭・友人をその手で掴んで下さい。
そして、それを必ず助けてくれる同僚や先輩女性社員が必ずいますから安心して下さい。
私も、非力ながらそんな皆さんを応援している一人です!
東城:
学生時代は企業での働き方がよくわからないので、身近なものから視野を広げる傾向にあります。そうすると、聞いたことのある商品、聞いたことのある会社などから就職活動も始めるのではないでしょうか。
地方には有名だったり大企業ではなくても、素晴らしい技術を持っていたり、素晴らしい理念を持っている良い企業がたくさんあることは知ってほしい。
「百聞は一見にしかず」ですので、まずはいろんなことに興味を持っていろんなとこに飛び込んでみてください。
都会には都会の良さがありますが、地元には地元の良さがあります。場所だけではなく企業選びをする際もそうですが、「どういう場所なら自分が自分らしく輝けるのか」を考えておくことが大事だと思います。
森田:
長く働く視点で会社の事をしっかり知ることが大事だと思います。実際に会社訪問してみたり、社員に会ってみたり自分の目や感覚も大事にしてほしいなと思います(インターネットの情報だけでなく)。
おそらく企業は自分が思っている以上にたくさんあるので、いろいろなところから情報を集められたらいいと思います。ご家族や地域の情報など。
中川:
就職合宿もそうですが、早い段階から就活に関するイベントや、企業の担当者と接触できる場が設けられています。まず、その情報を逃さないよう、情報に敏感になることが必要ですが、このようなイベントはとても良い機会なので、積極的に参加をして、企業との出会いを就活に活かしてほしいです。
働く地域を限定して就活をしている学生は、この地域で働くことにこだわりすぎて視野が狭くなりがち。地域にこだわるあまり、本当は何をやりたいのかが見えないことがあります。地元の企業だからというだけでなく、どうしてその会社で働きたくて、何をしたいのか、将来のキャリアも考えながら就活をしてほしいです。
小平:
上伊那には、この製品ではナンバー1など、その業界では名の知られた素晴らしい企業がたくさんあります!まずは是非色々な企業を知っていただきたいです。きっと「地元にこんな会社があったんだ?!」という驚きや発見に出会えると思います。
また、働く場所(土地柄)や企業規模だけでなく、良い人間関係が築けるかも仕事をする上では重要です。長く働く事も考えて、働きやすい職場かどうか会社や社員の方々の雰囲気も見て決めると良いですね。
小日向:
学生生活と社会人生活は時間の使い方が違う!社会人は思っている以上に時間を制約されます。
例えば都会の人の1日のタイムスケジュールと地方の人のタイムスケジュールは、ほとんどの場合異なります。都会であれば仕事を終えて・・・○○をしようと想像できることが沢山ありますが、現実はそういかない場合がほとんどです。
就活時には、時間の使い方や生活環境を、生の声を聞いて自分にあったスタイルを知って欲しいと思います。
細田:
実家に戻って就活する場合、期間短縮の採用活動の中、交通費や移動時間のロスが懸念されます。その為、「上伊那企業合同説明会in東京」(単独でやっている企業も有り)を利用するのが、多くの地元企業と触れ合う絶好のチャンスです。東京での説明会の後、その場で採用試験も実施している企業が特に狙い目ですね。
また、説明会の中に、昼食会等がセットになった企画だと、人事担当者との何気ない普段遣いの会話の中から人となりや、しいては企業風土が感じ取れるものですよ。
夏休み・冬休みを利用しての「インターンシップ」に数多く参加する事もお薦めします。
説明会よりも長い時間を共有する事によって、その会社の本質や自分との相性も判るのではないでしょうか。